ジェリー・マーティンさんインタビュー

2015年の第1回絵本フェスタ川口からほぼ毎年かかさずご参加くださっているジェリー・マーティンさん。今年(2023年)8月に発売される絵本『どんぐりたいこ』についてお話を伺いました。

Jerry Martin

アメリカ合衆国出身。カリフォルニアの大学で日本語と日本文学を修め、2004年に英語講師としての就職と同時に来日。

絵本作家、絵本翻訳、NPO法人「絵本で子育て」センターの絵本講師として活動。

翻訳をした絵本:「えいごのじかん2、3」(鈴木出版)

「セサミストリートの絵本」(イマジネイション・プラス)

文を書いた絵本:『どんぐりたいこ』 などがある。

『 どんぐりたいこ 』

ジェリー・マーティン / 作

長澤星 / 絵

( 鈴木出版 )


Q:このたびは「どんぐりたいこ」ハードカバー出版発売、おめでとうございます!

ここまでの道のりについて聞かせてください。


ありがとうございます。この絵本は本当に多くの人々のおかげで出来上がりました。自分が文章を書いて、絵を描いてもらって、出版社さんにみていただいてアドバイスをもらって、いろんな人からも意見をいただいて。グループでひとつの作品ができあがっていく、絵本はひとりでは作れない、ということを実感しました。

この業界に入った当初は絵本がどのようにできるのか知らなかったんですけれども、何冊か手がけて経験を積んでみて、今回の出版を通してあらためて学びになったことがたくさんありました。

オリジナリティをも大事だけど、役割分担して他者の能力や視点を自分のアイデアに合わせてみることで、想像を超えた良いものが出来上がるんですよね。かつて自分の絵と文章にこだわりすぎて進めなくなってしまったことがあるのですが、絵は違う人に描いてもらえばいいと気付いてから、創造の幅が一気に広がった気がします。今回の「どんぐりたいこ」は、今までの経験の集大成と言えます。

今絵本作家を目指している方に言いたいのは、知識経験ゼロの私ができたのだから、きっとあなたにもできるということ。自分一人ではできないかもしれない、でもさまざまなご縁がつながって力を貸してもらうことで、イメージが形になっていく。そんな業界です。十分実現可能な夢なので、あきらめずにがんばってほしいと思います。

Q.今回の作品「どんぐりたいこ」は、どのようなきっかけで制作を始められたのですか?


前から「どんぐり」に魅力を感じていました。不思議な色と形、持っていたくなる宝物のような存在。これをテーマに何か表現してみたいと、ずいぶん前にアイデアメモに書き記していました。

ある日、小さな女の子がどんぐりを持って歌いながら遊んでいるのをみて、これだ!と閃きました。


Q.そのインスピレーションを得たとき、どんな感じでしたか?やはりビビッときましたか?


よく「雷に打たれたように」という表現を聞きますが、自分の場合はちょっと違うかな。涼しい風がすぅーっと吹き抜けたような感覚でした。そのあと本が出来上がっていく過程は、水が氷になっていく感じ?形のないものが、徐々に固まっていった感じでしたね。


Q.どんぐりたいこの対象年齢は?


最初は赤ちゃん向けで考えていましたが、出版社さんの方針や読者層を考慮して3〜4歳くらいの年少さんを対象にしました。そのくらいの子は自分で自由に歩き回るようになり、足元に落ちている石や葉っぱにも興味をもつ好奇心旺盛な時期。そして赤ちゃんよりももうちょっと長い文章でも理解できるようになっているので、楽しんでもらえると思います。

ある保育士さんは、絵本の1ページをコピーしてそれを公園に持っていき、絵を見ながら子どもたちとどんぐりを探したそうです。そんなふうに使ってもらえると嬉しいですよね。


Q.楽しいリズムがあふれる読み聞かせにぴったりな絵本ですね。それを生かした手遊びや歌のアイデアはありますか?


はい、あります。片手で本を持って読み聞かせながらもう片方の手でできる手遊びの方法を今いろいろ考え中です。


Q.この本は今後本屋さんにて販売される予定ですが、その他にご予定・目標などはありますか?


多くの親子に楽しんでほしいので、図書館に置いてもらえるような本を作ることが最終的な願いです。

図書館ならいつでも誰でも気軽に手にすることができますからね。そのためには、ハードカバーが重要なポイントなので、今回の出版で目標に一歩近づけました。

Q.絵本フェスタ川口では、店頭・ネット通販に先がけて販売されるのですよね?


はい、私の初のハードカバー作品をどこよりも早く手にすることができるのが絵本フェスタです。当日は記念にサインもさせていただきます。

直接読者と触れ合えるイベントは本当に貴重な機会で、ありがたいですね。自分が書いた本をこの子が読んでくれるんだ、自分の本で絵本が好きになってくれるかもしれない、そう考えると感動で胸がいっぱいになります。


Q.最後に皆さまに向けてメッセージをお願いします。


「どんぐりたいこ」は、約2年前に月刊絵本で出版されました。本屋では売られていない本でしたが、多くの方が買ってくださって即完売。読んでくださった方からたくさんの喜びの声をいただきました。この本をハードカバーとして世に送り出すことができたのは、その当時から応援してくださった方たちのおかげです。このご縁に、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

そんな記念すべき一冊の初売りが絵本フェスタであることもご縁ですね。今回は例年よりも多くの作家さんが参加されるようなので、新しい出会いも楽しみです。

今年も絵本好きなみなさんとお目にかかれるのを心待ちにしています!



聞き手:絵本フェスタ川口実行委員

撮影・文・協力:各種広告制作森事務所

HOLIDAY COFFEE

〒330-0805 埼玉県さいたま市大宮区寿能町1-8

2023年8月16日(水) 絵本フェスタ川口 出展一覧

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